稲作だより
稲作農家の皆さまへ、時季ごとの作業に役立つ情報をお届けする「稲作だより」を発行しています。農作業の参考にしてください。
・水稲栽培講座(土壌診断講習)の資料はこちらをご覧ください。↓ 土壌診断に基づく土づくり(令和5年度)
・令和3年度に水稲・大豆で発生した病害虫の対策については、下記ページにまとめてありますのでご覧ください。↓ 令和3年度水稲・大豆に発生した病虫害の対策について|NOSAI山梨 (nosai-yamanashi.or.jp)
・水田の雑草防除についての情報はこちらをご覧ください。↓ 水田の雑草防除について(令和5年度)
・白未熟米対策・斑点米カメムシ対策についての情報はこちらをご覧ください。↓ 高温下での水稲登熟期の栽培上の課題と対策(令和6年度)
最新号
NOSAI稲作だより
第10号 2024.8
向こう1ヶ月は高温となる確率が80%、台風にも注意を
8月22日発表の1ヶ月予報(8月24日~9月23日)によると、気温が平年より高い確率は80% となっています。また直近の2週間予報(下図)によると、台風通過後の31日以降も34℃と高い気温が続き、特に9月4日以降夜温がかなり高くなる予報となっています。登熟期間中、高温が続くと胴割粒や白未熟粒の発生による品質低下が懸念 されます。
8月に入って発生する台風が多くなっています。現在、台風10号が発生し、30日には山梨県に最接近する予報となっています。特に8月と9月は月に5つ以上の台風が発生 するといわれており、この時期は海水温が高 いため強い勢力を保ったまま上陸する危険があります。
気象庁HP
連日の高温で胴割・白未熟粒発生の恐れ、水管理徹底を
出穂後の高温下では、きめ細やかな水管理を行ってください。特に今年は、梅雨明け以降、猛暑日でない日が4日しかなく、熱帯夜も25日以上と記録的な高温であるため、出穂後30日より前に早期落水しないでください。
出穂から30日後までは落水せず、間断かん水(2日湛水、2日落水)または飽水 ※ 管理 として、気温の低い朝夕の用水交換で水温・地温を低下させてください。
出穂30日以降も高温で経過する場合は、完全落水せずに収穫の5日程度前までは走水程度の飽水管理 とし、健全な登熟を促しましょう。
※飽水…地表には水がないが土には十分に水が含まれている状態。(足跡には水が溜まる)
台風による強風雨やフェーン現象の恐れがある場合は、次のような対応を取ってください。
強風が吹く前に湛水管理に切り替え、強風が去った後は速やかに間断かん水または飽水管理に戻してください。
事前に排水路の点検、補修、ごみを除去しておき、水口と排水路をふさぎ、水の流入を防ぎましょう。
収穫が近い場合 は、倒伏や穂発芽を防ぐため、やや早くても収穫 してください。(収穫時期の5〜7日前の収穫は、収量・品質への影響はほとんどありません)
NOSAI稲作だより
第9号 2024.7
10月までは高温となる予報、品質低下に注意を
7月25日発表の1ヶ月予報(7月27日~8月26日)によると、気温が平年より高い確率は80%となっており、直近の2週間予報でも8月9日までは猛暑日・熱帯夜が続く予報となっています。出穂後高温が続くと胴割米や白未熟米の発生による品質低下が懸念されます。
また、7月23日発表の3ヶ月予報でも10月までは気温が平年より高い確率が50%以上となっており、昨年のように晩生種でも品質低下が懸念されますので、適切な水管理で品質低下を防ぎましょう。
気象庁HP
出穂から1週間程度は湛水管理・高温時は水交換を
出穂から1週間程度は 、稲が最も水を必要としますので、湛水管理で水深3~5㎝を保って ください。
出穂後1週間程度~出穂後30日の登熟期は、間断かん水(2日湛水、2日落水) とし、出穂後30日間は完全落水しない でください。
登熟期が高温となる場合 は、胴割れや白未熟粒が発生し品質が低下するので、水交換やかけ流しにより水温、地温の上昇を抑えて ください。また、出穂後30日を過ぎても高温が続くような場合は、完全落水せずに収穫5日程度前までは走水程度の飽水管理 とし、健全な登熟を促しましょう。
穂いもち・斑点米カメムシの防除で減収回避
出穂直後の穂は、特にいもち病に感染しやすい ため薬剤防除を徹底してください。
穂いもちの防除時期は、「穂孕後期」と「穂揃期」の2回 です。適期に防除してください。
斑点米カメムシ (8月中の草刈は行わず、薬剤防除を徹底してください)
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください。
NOSAI稲作だより
第8号 2024.7
草丈は昨年並みで分げつは少なめ、気温は高い予想
7月9日の韮崎・北杜市の調査地での生育状況は、草丈は昨年並み、分げつ量は昨年と比べ少なめの状況です。7月11日発表の1ヶ月予報によると、気温が平年より高い確率は70%となっています。降水量は平年並み又は多い確率がそれぞれ40 %となっています。高温時の水管理に注意してください。
穂肥は生育診断により適期・適量の徹底を
品種により穂肥の施用時期や施用量が異なるので、下の表を参考に施用 してください。 分げつ量が多く、葉 色が濃い場合は、施用量を減らすか無施用 とします。
穂肥を施用する場合は、湛水状態で行い、散布後3~5日は止水 してください。
出穂期前後の水管理
出穂前までは間断かん水(2日湛水、2日落水) を行います。
出穂から1週間程度は 、稲が最も水を必要としますので、湛水管理で水深3~5㎝を保って ください。
出穂後1週間程度~出穂後30日は、間断かん水(2日湛水、2日落水) とし、出穂後30日間は完全落水しない でください。
出穂期以降高温となる場合 は、胴割れや白未熟粒が発生し品質が低下するので、水交換やかけ流しにより水温、地温の上昇を抑えて ください。
出穂期前後の病害虫防除の徹底を
7月1日に県病害虫防除所が発表した「病害虫発生予察報第4号」によると、斑点米カメムシの発生量は平年並み との予報が出ています。7月6日の調査では斑点米カメムシの発生は認めませんでした。斑点米カメムシは、畦畔や近隣の遊休農地のイネ科雑草で増殖し、稲が出穂すると本田に飛来して加害するので、出穂10日前まで に畦畔等の除草を徹底 してください。
今年は梅雨入りが遅かったものの、まとまった降雨があり降水量は平年並みです。6日の調査時点では、いもち病は見られませんが、今後の気象によっては発生に十分注意してください。
中干しは、有効な分げつが確保された出穂前40日~30日に実施 します。中干しの程度は、田面にやっと足跡が付く位か、2~3㎜くらいの小さな ヒビが入るくらいで5~7日程度を目安 にします。
近年、温暖化に伴いカメムシ類の被害が多くなっており、特に今年は多発が予想されます。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。
畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂10日前までに畦畔等の草刈り、水田内を除草 してください。
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、 湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください 。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気です。特にいもち病に弱いコシヒカリなどの品種では、田植前の育苗箱への薬剤処理、本田期での予防散布を徹底することが防除のカギとなりますので、次の点に注意してください。
葉色が濃い場合は、感染を助長しますので、圃場を良く見回り、早期発見、早期防除を徹底 してください。
万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなどの治療効果のある薬剤を散布 してください。
粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上 を保ち、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態を保って ください。また、散布後 7日間は、落水・かけ流しはさけて ください。
葉いもちの病斑
NOSAI稲作だより
第7号 2024.6
15日以降も高温が続く予報、ワキの発生に注意
11日から連日30℃前後の高温が続き、 断続的に降雨がありますが、いまだ梅雨入り宣言がありません。15日から一週間も高温が続く予報です。気温が高く、晴天が続くと土壌が異常還元状態(ワキ)になりやすくイネの生育に影響するので、ワキや藻類の発生が見られる水田では、一度水交換を行い、その後浅水管理(水深2~3㎝) とし、昼間止水・夜間注水で分げつを促して ください。
晴天・高温が続く場合は、2~3日おきに水の入替 を行い、ワキや表層剥離の発生を抑制しましょう。万一ワキが発生した場合は、下の表により対策を行ってください。
ワキの程度と目安 生育への影響 対策 水田を歩くと気泡が発生する 根の活力低下 水交換 水田を歩くと盛んに気泡が発生し、臭いを感じる 根張り不良 水交換、夜間落水 水田を歩くと著しく気泡が発生し、臭いを強く感じる 根の伸長阻害、地上部黄化 夜間かん水、田干し
表 土壌還元(ワキ)の程度と対策
有効茎数が確保された水田から中干しを
中干しは、水管理の中でも重要な作業です。中干しすることで次のような効果が期待できます。
土壌の通気を良くし硫化水素等の有害物質を除いて根の老化を防ぎ、活力を維持する。
窒素の吸収を抑え、無効分げつを抑制する。
加里の吸収が多くなり、イネの組織が強くなる。
土壌が硬くなることにより、倒れにくくなる。
中干し終了後の田面の目安
中干しは、有効な分げつが確保された出穂前40日~30日に実施 します。中干しの程度は、田面にやっと足跡が付く位か、2~3㎜くらいの小さな ヒビが入るくらいで5~7日程度を目安 にします。
中干し終了後は、間断かん水に切り替え
中干し終了直後に湛水すると根腐れを起こしやすく登熟不良や早期枯れあがりにつながります。中干し終了後は走り水で飽水管理 (足跡に水がにじみ出る程度)した後、徐々に間断かん水(2日湛水、2日落水)に切り替え 、根の活力維持に努めましょう。
梅雨時は適切な病害虫防除の徹底を
いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気です。田植から1ヶ月経過する田では、育苗時の農薬の薬効がなくなっていますので、この時期の予防散布を徹底する ことが防除のカギとなります。
NOSAIでは6月10日から富士支所、13日から北部支所で、いもち病の一斉防除を行っていますが、皆さんも次の点に注意してください。
置き苗は、いもち病の発生源となるので速やかに処分 する。
NOSAIの一斉防除を申し込みされずご自身で防除する方で、特に育苗箱への薬剤処理をしていない方は、早急に本田への予防散布を行う 。
粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上 を保ち、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態を保つ こと。また、散布後 7日間は、落水・かけ流しはさける 。
万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなどの治療効果のある薬剤を散布 する。
葉いもちの病斑
近年、温暖化に伴いカメムシ類の被害が多くなっており、特に今年は多発が予想されます。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。
畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂10日前までに畦畔等の草刈り、水田内を除草 する。
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 する。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、 湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさける 。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
NOSAI稲作だより
第5号 2024.5
5月は気温が高く、降水量はやや多い予報・田植えは好天時に
連休中の高温により苗の生育は速い傾向にあります。5月2日発表の1ヶ月予報では、平年に比べ気温が高い確率が60%で、降水量はやや多く、日射量は少ないまたは平年並みの予報となっています。
低温や強風の日に田植えをすると苗が植え痛みを起こして活着や初期成育の遅れにつながります。出来れば2~3日程度好天が見込める日 に田植えをしましょう。
除草剤効果を保つためにも代かきは均平に
代かきは、湛水状態で土を練るため、施用した元肥を混合でき、水持ちを良くし、また田面の均平化によって田植えがしやすくなり、除草剤の効果も上がるほか、苗の活着も良くなります。大切な作業ですので均平化 することを念頭に丁寧に行いましょう。
水持ちの悪い水田では、ある程度丁寧に代かきする必要がありますが、1日当りの減水深は2㎝ くらいが望ましいので、代かきのやりすぎは水が停滞し稲の生育にもよくありません。
代かきする時期は土質、土性によって違いますが、およそ田植えの2~6日前くらいが目安 になります。代かき後の落水は田面を硬くし、田植えの精度を落としたり、除草剤の効果を低下させますので、田植えまでは湛水を保 ちましょう。
代かきは水面に土の塊が3割程度見える水量で
植え付け深度は3cm程度 浅植え、深植えに注意
植え付け深度は3㎝程度 とします。極端な深植えは初期の分げつを抑制 し、浅植えも活着しなかったり、除草剤の薬害を受けやすい ので避けてください。
植え付け本数は4~5本/株 、栽植密度は60株/坪 を基本に、田植えが遅れる場合や用水の温度が低い圃場では株当りの植え付け本数をやや多めにしましょう。
欠株は、苗の状態、田面の硬さ、ワラなどのゴミの多さが原因で発生します。多少の欠株は収量に影響ありませんが、連続1m以上の欠株が出た場合には20㎝に1株の割合で補植 してください。
補植作業が終わった後も、余った苗を田内に放置する方が見られますが、いもち病の発生源になるので早めに処分 してください。
田植え後1週間は、水深5~6㎝の深水管理を
<活着期の水管理 >
田植後の水管理は、植え痛みによる活着の遅れを防ぐため、田植え後1週間くらいは5~6㎝程度の深水管理 にして稲体を保護し、新根の発生を促して活着を促進します。
<分げつ期の水管理 >
苗が活着すると分げつが始まるので2~3㎝程度の浅水管理 とし、日中止水・夜間注水の保温的水管理で地温・水温を上げて根の伸長と分げつの促進を図り、茎数の早期確保に努めましょう。
図.有効茎数確保までの水管理のイメージ
除草剤は適正に使用し、薬害に注意しましょう
田植え前後に効果的に除草剤を使用して、雑草を抑えましょう。 田植え前後に散布する除草剤としては、初期剤、初期一発剤、初・中期一発剤になります。 高温下ではワキ(ガス害)が心配されるので、除草剤散布前に水交換または軽い田干しを行いましょう。
<効果的な除草剤の使い方 >
水田除草剤は、田面に処理層を形成することで効果を発揮します。除草剤の効果を上げるポイントは、次の3点です。
除草剤を圃場全体に広げるため、代かきを丁寧に行い凹凸をなくしましょう 。また、ジャンボ剤や豆つぶ剤を使用する場合は、アオミドロやウキクサがあると除草成分がうまく拡散できず、薬害が発生することがあるので、アオミドロやウキクサは必ずモゲトンで駆除 しましょう。
均一な処理層を作るため、水口、水尻をしっかり止め、湛水状態で水深を粒剤・フロアブル剤は3~5㎝ 、ジャンボ剤・豆つぶ剤は5~6㎝ とし、7日間程度湛水 状態を保ちましょう。
処理層を壊さないため、7日間は落水、かけ流しは行わず (水深が低下した場合は、ゆっくりと入水) その間なるべく水田内に立ち入らないでください。
NOSAI稲作だより
第4号 2024.4
5月中旬までは気温が高い予報、徒長・苗焼けに注意
4月25日発表の1ヶ月予報では、気温は5月中旬までは平年より高く、降水量は平年並みか多く、日射量は少ない確率がやや高い予報となっています。 30℃を超える日もあり、高温条件下では苗が徒長したり、苗焼けを起こしやすいので温度管理に十分注意してください。
高温時の育苗後期・硬化期のポイント
<温度管理 > ハウスやトンネル内の温度は、こまめに確認を
ハウスやトンネル内の温度は、日中20~25℃、夜間10~15℃を目安に換気や保温に努めましょう。 予報では高温となる予想なので、特に気温が上がりやすい晴天時は徒長しないよう換気をしください。また朝、低温が予想される場合は、保温資材を利用して保温してください。
田植1週間前からは、霜の心配がない限り育苗ハウスやトンネルを開放して苗を外気に慣らすようにしましょう。
<水管理 > かん水は、朝1回が基本
かん水は、十分な水量を朝1回が基本 です。夕方のかん水は、床土の温度を下げ、過湿 ・ カビの原因になるので避けましょう。
プール育苗は、1.5葉期に床土の高さまで入水し、ハウスを開放。2葉期以降は箱上1cmが目安です。
<追肥 > 苗の葉齢を確認し、適期に追肥を
稚苗は育苗期間が短いので基肥だけで充分ですが、中苗は追肥したほうが良苗ができます。方法は、第2葉展開時と第3葉展開時にそれぞれ1箱当り硫安5gを500㏄の水に溶かしてジョウロで散布 してください。
床土に緩効性肥料(育苗一発肥料など)を使用した場合は追肥は必要ありません。
本田準備【土づくり・耕起・基肥】
土づくり資材の施用
土づくり資材としては、堆肥やようりん、ケイ酸資材があげられます。堆肥は、土壌の物理性、化学性、生物性を改善しイネが生育しやすい環境を作ります。ようりんやケイ酸資材は、イネの生育に必要な養分の供給源となるとともに気象変動や病害虫に強い植物体を作る作用があります。
基肥の窒素量
耕起深は15㎝以上を確保
水田を耕す際に十分な深さで耕起しないと、根域が狭くなり根の養分供給力や水分保持力が低下します。 また、作土量に対し稲わら量の割合が高まり、ワキ(土壌の異常還元)が発生 しやすくなり、分げつなど生育に影響が出る場合があります。
トラクターの馬力に応じたスピードで耕起し、耕起深15㎝以上を確保して根張りの良い登熟期の高温に抵抗力のある稲を作る ように努めましょう。
土づくりの留意点
基肥は耕起後に施用 して、肥料成分が作土層の上部に分布するようにしましょう。
基肥(速効性肥料)は、流亡しやすいので代かき直前に施用 しましょう。また、基肥一発肥料(緩効性肥料)は、田植10日前以内に施用 しましょう。
NOSAI稲作だより
第3号 2024.4
気温が高くなる予報、適切な温度管理を!
桜の開花は、3月に寒の戻りや降雪もあって、最も早かった昨年よりも12日遅い3月29日でした。気象庁4月4日発表の1ヶ月予報では、平年より気温が高い確率が70%と高い予想なので、浸種・育苗時はきめ細かい温度管理を行い、ばか苗病等の感染や高温障害(苗焼け)に注意してください。
播種作業上の注意点
催芽で芽と根が1㎜出た鳩胸状態を必ず確認し、伸ばしすぎに注意してください。
播種量(乾籾換算)の目安は、中苗が80~100g/箱、稚苗が130~150g/箱です。播種量が多いと軟弱徒長苗の原因になるので注意しましょう。
覆土の厚さは、床土使用では5~7㎜程度、育苗マット使用では10㎜程度としてください。
育苗時の温度管理の目安
昔から苗半作といわれるように、苗の良し悪しがその後の生育を左右します。 基本に返って失敗しないようにしましょう。目標とする苗質、箱数等は下表のとおりです。
育苗期間中の水管理と主な病害
出芽を揃え、温度管理やかん水を適切に行い、農薬を適正に使用して病害を発生させないように管理しましょう。育苗中の主な病害は表1のとおりです。
病名・病原菌 症状 原因 対策 苗立枯病 リゾプス属菌 土の表面にクモの巣状の白いカビ 出芽時の高温多湿、厚播き 33℃以上の高温にしない、多湿にしない フザリウム属菌 地際部や籾周辺に白色~ピンク色のカビ 低温、PH5.5以上の床土、乾燥、過湿 低温を避け、土壌の湿度を適切に維持する ピシウム属菌 カビは見えない。出芽後の芽、根の枯死、ムレ苗 緑化期の低温、湿度の変動が大きい時 低温を避け、適切な温度を保つ 過湿にしない 苗立枯細菌病 もみ枯細菌病 第2葉身の真ん中から基部にかけて黄変または白化、伸長停止しその後枯死する 出芽時の高温多湿 高温・過湿を避け、発病した苗は廃棄する
表1 育苗期間中の主な病害と対策
苗立枯病(リゾプス属菌)
苗立枯病(フザリウム属菌)
苗立枯病(ピシウム属菌)
苗立枯細菌病
もみ枯細菌病
※ 苗立枯病・もみ枯細菌病の写真は、県病害虫防除所提供
水管理 かん水は、朝に1回が基本です。夕方のかん水は、床土の温度を下げるので避けましょう。 プール育苗は、1.5葉期に床土の高さまで入水し(カビ等の好気性病害の発生を抑制)、ハウスを開放。2葉期以降は箱上1㎝が目安です。
NOSAI稲作だより
第2号 2024.3
4月以降気温が高い見込み、作業が遅れないよう注意を
気象庁が19日発表した3ヶ月予報では、4月から6月の気温は高い確率が50%の予報となっており、育苗期の気温が高くなることが予想されます。生育が進む恐れや苗焼けが心配されますので、育苗時の温度管理に注意してください。
イネが生育しやすい土壌環境を整えましょう
イネが生育しやすい土壌環境を作るため、稲わらや堆肥等の有機物を投入 (ガス害を防ぐため秋の投入が望ましい)しましょう。また倒伏防止や、いもち病軽減、高温対策のため、ケイ酸資材を10a当り100~150kg施用 しましょう。
耕起深が浅いとイネが根を張れないため初期成育や分げつが悪くなります。また稲わらなどの残渣も埋没しにくいので、耕深は15㎝ を目安に耕耘しましょう。
苗種ごとの育苗期間・播種量・苗質などの目安
昔から苗半作といわれるように、苗の良し悪しがその後の生育を左右します。 基本に返って失敗しないようにしましょう。目標とする苗質、箱数等は下表のとおりです。
育苗は田植日から逆算して計画的に進めましょう
稚苗か中苗か田植する苗の大きさにより育苗日数が異なるので、例に倣って田植日から逆算し計画的に作業日程を設定しましょう。また、苗の大きさで播種量、箱数も異なるので、種や用土など過不足のないよう準備しましょう。
育苗資材の準備
種もみの準備
NOSAI稲作だより
第1号 2024.3
県総合農業技術センター水稲関係成果の紹介
2月21日に甲斐市双葉ふれあい文化館で開催された県総合農業技術センターの「令和5年度成果発表会」において、近年問題になっている雑草イネの防除体系について紹介されましたのでお知らせします。
※なお、文章は成果情報から抜粋、写真は県総合農業技術センターから提供いただきました
近年問題になっている「雑草イネ」の防除方法を発表
近年、県内の標高500~700mの水田において、玄米が赤褐色で脱粒性のある「雑草イネ」が発生し、生産物に混入することにより検査で規格外となり問題になっています。そこで、県内で流通している除草剤を中心に効果を確認し、2~3年実施することで、手取り除草が可能な発生量まで低減できる防除体系を確立しました。
雑草イネとは
「雑草イネ」は栽培イネと同種で、茎葉の形態が類似しており、出穂前には圃場での識別が難しい。県内で2系統(擬態型)の発生が確認され、「コシヒカリ」と比べ長稈、やや早生で(図1)、出穂2週間後から脱粒し、落下した籾により次年度雑草化する。
籾の先端の色(ふ先色)は、淡い褐色または無く、籾は黄土色、玄米の果皮が赤褐色で生産物に混入すると着色粒と判定され等級が低下する(図2)。
県内で発生した「雑草イネ」の系統は、他県の系統と比べて休眠性が深い傾向にあり、春期における出芽数が多く、発生が長引く傾向がある。
除草剤による防除方法
この防除の工程・時期は、標高500~700mが対象
初発の「雑草イネ」を埋め込むため、代かきは4月末から7~10日間隔で2度行う 代かきは、水をやや少なめ とし、出芽した「雑草イネ」を埋め込むように2工程(重複して)で丁寧 に行う。
防除体系は、代かきから田植までの日数に応じて2体系 に区分 除草剤を散布するタイミングは、2度目の代かきから田植までの期間が4日以上開く場合 と、2度目の代かきから田植までの期間が3日以内の場合 の2体系に区分。除草剤は、表1にある薬剤を下記の体系に従って散布する。
【1.代かきから田植までの期間が4日以上開く場合の除草剤散布と薬剤 : 3剤体系】
1回目:2度目の代かき時、または代かき後に初期剤を散布(表1①)
2回目:田植のあと、1回目の除草剤処理から10日以内に初期剤あるいは一発剤を散布(表1②、③~⑦)
3回目:2回目の処理から7~10日後に、一発剤または中期剤を散布(表1③~⑧)
【2.代かきから田植までの期間が3日以内の場合の除草剤散布と薬剤 : 2剤体系】
1回目:田植のあと、2度目の代かき後7日以内に、初期剤あるいは一発剤を散布(表1②~⑦)
2回目:1回目の除草剤処理から7~10日後に、一発剤を散布(表1③~⑦) * 前年に発生量が多い場合は、2回目の処理から7~10日後に一発剤または中期剤を散布(表1③~⑨)
防除効果を上げるため、田植20~30日後に畦間や株間の漏性株と出穂前後1週間に出穂期や草丈の違う株も抜き取る
NOSAI稲作だより
第10号 2023.8
向こう1ヶ月は高温となる確率が80%、台風にも注意を
8月24日発表の1ヶ月予報(8月26日~9月25日)によると、気温が平年より高い確率は80% となっています。また直近の2週間予報(下図)によると9月2日までは35℃以上の猛暑日が続き、9月4日以降も気温は平年よりかなり高くなる予報となっています。出穂以降、高温が続くと胴割粒や白未熟粒の発生による品質低下が懸念 されます。
8月に入って発生する台風が多くなっています。28日には台風11号が発生、現在太平洋上に3つの台風が発生しています。特に8月と9月は月に5つ以上の台風が発生 するといわれており、この時期は海水温が高 いため強い勢力を保ったまま上陸する危険があります。
連日の高温で胴割・白未熟粒発生の恐れ、水管理徹底を
出穂後の高温下では、きめ細やかな水管理を行ってください。特に今年は、降雨が少なく高温であるため、出穂後30日より前に早期落水しないでください。
出穂から30日後までは落水せず、間断かん水(2日湛水、2日落水)または飽水管理 として、気温の低い朝夕の用水交換で水温・地温を低下させてください。
出穂30日以降も高温で経過する場合は、完全落水せずに収穫の5日程度前までは走水程度の飽水管理 とし、健全な登熟を促しましょう。
台風による強風雨やフェーン現象の恐れがある場合は、次のような対応を取ってください。
強風が吹く前に湛水管理に切り替え、強風が去った後は速やかに間断かん水または飽水管理に戻してください。
事前に排水路の点検、補修、ごみを除去しておき、水口と排水路をふさぎ、水の流入を防ぎましょう。
収穫が近い場合 は、倒伏や穂発芽を防ぐため、やや早くても収穫 してください。(収穫時期の5〜7日前の収穫は、収量・品質への影響はほとんどありません)
NOSAI稲作だより
第9号 2023.8
向こう1ヶ月は高温となる確率が80%、降雨にも注意を
7月27日発表の1ヶ月予報(7月29日~8月28日)によると、気温が平年より高い確率は80%となっています。出穂後高温が続くと胴割粒や白未熟粒の発生による品質低下が懸念 されます。適切な水管理で品質低下を防止しましょう。
また直近の2週間予報によると8月5日までは猛暑日が続き、8月8日以降は台風の影響で雨が降る確率が高くなっています。この時期は出穂~開花期に当たります。出穂直後の穂は、特にいもち病に弱いので、降雨が続くと穂いもちの発生が懸念 されます。
出穂から1週間程度は湛水管理・高温時は水交換を
出穂~登熟期の水管理は次のようにしてください。
出穂から1週間程度は 、稲が最も水を必要としますので、湛水管理で水深3~5㎝を保って ください。
出穂後1週間程度~出穂後30日の登熟期は、間断かん水(2日湛水、2日落水) とし、出穂後30日間は完全落水しない でください。
出穂期以降も高温となる場合 は、胴割れや白未熟粒が発生し品質が低下するので、水交換やかけ流しにより水温、地温の上昇を抑えて ください。
穂いもち・斑点米カメムシの防除で減収回避
<穂いもち>
出穂直後の穂は、特にいもち病に感染しやすい ため薬剤防除を徹底してください。
穂いもちの防除時期は、「穂孕後期」と「穂揃期」の2回 です。適期に防除してください。
<斑点米カメムシ> (8月中の草刈は行わず、薬剤防除を徹底してください)
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください。
NOSAI稲作だより
第8号 2023.7
高温傾向で分げつ量は平年並み、やや早い生育
6月が比較的高温で推移したため、分げつ量は中間地から高冷地にかけて概ね平年並みでやや早い生育となっています。7月13日発表の1ヶ月予報によると、気温が平年より高い確率は60%となっており、特に15日からの一週間は高い確率が80%となっています。日照時間が平年より長い確率は40%で、降水量は平年並みか少ない予報となっています。
穂肥は生育診断により適期・適量の徹底を
コシヒカリなどの倒伏しやすい品種と、あさひの夢などの倒伏に強い品種とでは、穂肥の施用時期や施用量が異なるので、下の表を参考に施用 してください。
分げつ量が多く、葉色が濃い場合は、施用量を減らすか無施用 とします。また、施用時期が遅れたり施用量が多いと玄米粗タンパク質含有量が高くなり食味が悪くなるので、注意してください。
穂肥を施用する場合は、湛水状態で行い、散布後3~5日は止水 してください。
出穂期前後の水管理
出穂前までは間断かん水(2日湛水、2日落水) を行います。
出穂から1週間程度 は、稲が最も水を必要としますので、湛水管理で水深3~5㎝を保って ください。
出穂後1週間程度~出穂後30日は、間断かん水(2日湛水、2日落水) とし、出穂後30日間は完全落水しない でください。
出穂期以降高温となる場合 は、胴割れや白未熟粒が発生し品質が低下するので、水交換やかけ流しにより水温、地温の上昇を抑えて ください。
出穂期前後の病害虫防除の徹底を
6月30日に県病害虫防除所が発表した「病害虫発生予察報第4号」によると、斑点米カメムシの発生量は平年並み との予報が出ています。斑点米カメムシは、畦畔や近隣の遊休農地のイネ科雑草で増殖し、稲が出穂すると本田に飛来して加害するので、出穂2週間程前までに畦畔等の除草を徹底 してください。
梅雨入り直後は、曇雨天の日が多く、いもち病の初発生が例年より早くなると心配されましたが、今のところいもち病はほとんど見られません。しかし、市川三郷町の無防除水田で葉いもちが出ていますので、今後の気象によっては発生に十分注意してください。
■斑点米カメムシ
近年、温暖化に伴いカメムシ類の被害が多くなっています。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。
畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂2週間程前までに畦畔等の草刈り、水田内の除草 をしてください。
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
■ いもち病 (葉いもち)
いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気です。 特にいもち病に弱いコシヒカリなどの品種では、田植前の育苗箱への薬剤処理、本田期での予防散布を徹底することが防除のカギとなりますので、次の点に注意してください。
葉色が濃い場合は、感染を助長しますので、圃場を良く見回り、早期発見、早期防除を徹底 してください。
万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなどの治療効果のある薬剤を散布してください。
粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上を保ち 、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態を保って ください。また、散布後7日間は、落水・かけ流しはさけて ください。
葉いもちの病斑
NOSAI稲作だより
第7号 2023.6
梅雨入りは平年より1日遅い8日
6月初めから台風の影響もあって降水量は多いものの、晴れの日が続いたこともあって梅雨入りは平年より1日遅い6月8日でした。比較的高温傾向であったため、ワキや藻類の発生が見られる水田では、一度水交換を行い、その後浅水管理(水深2~3㎝) とし、昼間止水・夜間注水で分げつを促して ください。
気温が高く、降水量は少ない予報、ワキの発生に注意
6月15日発表の1ヶ月予報(6月17日~)では、気温は平年より高く、降水量は平年並み又は少ない、日照時間は平年並み又は多い確率がそれぞれ高い予報となっています。
気温が高く、晴天が続くと土壌が異常還元状態(ワキ)になりやすくイネの生育に影響するので、土壌からの気泡の発生の有無や葉色、分げつ量を確認してワキが発生していないか日頃から観察しましょう。
晴天・高温が続く場合は、2~3日おきに水の入替 を行い、ワキや表層剥離の発生を抑制しましょう。万一ワキが発生した場合は、下の表により対策を行ってください。
有効茎数が確保された水田から中干しを
■中干しは、水管理の中でも重要な作業です。中干しすること で次のような効果が期待できます。 ① 土壌の通気を良くし硫化水素等の有害物質を除いて根の 老化を防ぎ、活力を維持する。 ② 窒素の吸収を抑え、無効分げつを抑制する。 ③ 加里の吸収が多くなり。イネの組織が強くなる。 ④ 土壌が硬くなることにより、倒れにくくなる。
中干し終了後の田面の目安
■中干しは、有効な分げつが確保された出穂前40日~30日に実施 します。中干しの程度は、田面に やっと足跡が付く位か、2~3㎜くらいの小さなヒビが入るくらいで5~7日程度を目安 にしま す。
中干し終了後は、間断かん水に切り替え
■中干し後の水管理 中干し終了直後に湛水すると根腐れを起こしやすく登熟不良や早期枯れあがりにつながります。 中干し終了後は走り水で飽水管理 (足跡に水がにじみ出る程度)した後、徐々に間断かん水(2日湛水、2日落水)に切り替え 、根の活力維持に努めましょう。
梅雨時は適切な病害虫防除の徹底を
■いもち病 (葉いもち) いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気です。特にいもち病に弱いコシヒカリなどの品種では、田植前の育苗箱への薬剤処理、本田期での予防散布を徹底する ことが防除のカギとなります。 NOSAIでは6月9日から富士支所、13日から北部支所で、いもち病の一斉防除を行っていますが、皆さんも次の点に注意してください。 ① 置き苗は、いもち病の発生源となるので速やかに処分 する。 ② NOSAIの一斉防除を申し込みされずご自身で防除する方で、 特に育苗箱への薬剤処理をしていない方は、早急に本田への予 防散布を行う 。 ③ 粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上を保ち 、 散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態 を保つこと。また、 散布後 7日間は、落水・かけ流しはさける 。 ④ 万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなど の治療効果のある薬剤を散布 する。
葉いもちの病斑
■斑点米カメムシ 近年、温暖化に伴いカメムシ類の被害が多くなっています。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。 ① 畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの 穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂10日前までに畦畔等の草刈り、水田内を除草 する。 ② 本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 す る。 ③ 粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に 散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさける 。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
NOSAI稲作だより
第6号 2023.5
5月27日から一週間は気温が高め、降水量はやや多い予報
5月25日発表の1ヶ月予報では、気温は5月下旬が高い確率が50%で6月上旬は平年並みの確率が50%の予報。降水量は平年並みまたは多い確率がともに40%、日射量は平年並みまたは少ない確率がともに40%の予報となっています。
田植え後、気温が高いと藻が発生したり、土壌中の有機物の分解が進み土壌が酸欠状態となり、根痛みが発 生し分げつが抑制されたり葉が黄変しますので、水の入替えなど適切な水管理を行ってください。
除田植え直後~分げつ期の水管理
田植え直後は、深水で管理して活着を進め、活着後は浅水管理で分げつを促しましょう。
田植え後1週間は水深を4~5cm程度の深水 とし、風や外気から苗を保護することで、苗の消耗を防ぎ新根の発生を促しましょう。活着後は、水深2~3cmの浅水管理 とし、日中止水、夜間注水の保温的水管理 を行い分げつの発生を促進させましょう。
晴天・高温が続く場合は、2~3日おきに水の入替え を行い、土壌の異常還元(ワキ)や表層剥離の発生を抑制しましょう。
高温時は土壌の異常還元( ワキ)に注意
ワキ(ガス害)が発生したら、下記の表を参考に水交換、夜間落水、田干しを行い、ワキの軽減に努めましょう。
ワキによる分げつ不良
除草剤の適正使用で効率的に雑草を抑えましょう
気温が高いとワキや表層剥離が発生するだけでなく、雑草の生育が早まります。雑草の葉齢が進むと除草剤の十分な効果が見込めなくなるので、遅れないよう散布しましょう。
水草や藻類、表層剥離が発生している場合は、ジャンボ剤や豆つぶ剤がうまく拡散できずに、薬害が発生したり除草効果が劣ることが懸念されるので、水草や藻類は早めにモゲトンで駆除してから、除草剤を散布 しましょう。
除草剤散布後、7日間は湛水状態を保ちます。その間ワキが進むので、下図のように除草剤散布前に水交換または軽い田干し を行いましょう。
除草剤の効果を高めるためには、均一な処理層をつくることが必要です。水口と水尻をしっかり止め、湛水状態で水深を粒剤・フロアブル剤で3~5cm、ジャンボ剤・豆つぶ剤は5~6cm とし、7日間は落水、かけ流しせずに湛水状態 を保ちましょう。(水深が低下した場合は、処理層を壊さないようゆっくり入水する)
いもち病やカメムシの防除を徹底しましょう
いもち病やカメムシが多発すると、収量が激減したり、米の品質が低下します。低温多雨の梅雨時は、いもち病の感染条件が整いやすいので、薬剤による防除や耕種的防除を徹底してください。
置き苗は、いもち病の感染源になるので廃棄します。畦畔などのイネ科の雑草は、いもち病やカメムシの発生源になるので、定期的に刈り取ってください。
いもち病防除剤(粒剤)を散布する場合、水深を3cm以上とし、散布後7日間、少なくとも3~4日間は湛水状態を保ちましょう。
県病害虫防除所の水稲いもち発生予測システム(BLASTAM)を参考に防除が遅れないようにしましょう。
葉いもち病斑
斑点米カメムシの生態
NOSAI稲作だより
第5号 2023.5
5月は気温が前半低めで雨が多い予報・田植えは好天日に
連休中の高温により苗の生育は速い傾向にあります。5月4日発表の1ヶ月予報では、気温が前半低めで2週目から平年並み、雨が多く、日射量は平年並みとの予報となっています。
低温や強風の日に田植えすると苗が植え痛みを起こして活着や初期成育の遅れにつながります。出来れば2~3日程度好天が見込める日 に田植えをしましょう。
除草剤効果を保つためにも代かきは均平に
代かきは、湛水状態で土をねるため、施用した元肥を混合でき、水持ちを良くし、また田面の均平化によって田植えがしやすくなり、除草剤の効果もあがるほか、苗の活着も良くなります。大切な作業ですので均平化 することを念頭に丁寧に行いましょう。
水持ちの悪い水田では、ある程度丁寧に代かきする必要がありますが、1日当りの減水深は2cm くらいが望ましいので、代かきのやりすぎは水が停滞し稲の生育にもよくありません。
代かきする時期は土質、土性によって違いますが、およそ田植えの2~6日前くらいが目安 になります。代かき後の落水は田面を硬くし、田植えの精度を落としたり、除草剤の効果を低下させますので、田植えまでは湛水を保ちましょう。
代かきは水面に土の塊が3割程度見える 水量で
植え付け深度は3cm程度 浅植え、深植えに注意
植え付け深度は3cm程度 とします。極端な深植えは初期の分げつを抑制 し、浅植えも活着しなかったり、除草剤の薬害を受けやすい ので避けてください。
植え付け本数は4~5本/株 、栽植密度は60株/坪 を基本に、田植えが遅れる場合や用水の温度が低い圃場では株当りの植え付け本数をやや多めにしましょう。
欠株は、苗の状態、田面の硬さ、ワラなどのゴミの多さが原因で発生します。多少の欠株は収量に影響ありませんが、連続1m以上の欠株が出た場合には20cmに1株の割合で補植 してください。
補植作業が終わった後も、余った苗を田内に放置する方が見られますが、いもち病の発生源になるので早めに処分 してください。
田植え後1週間は水深5~6cmの深水管理を
■ 活着期の水管理
田植後の水管理は、植え痛みによる活着
の遅れを防ぐため、田植え後1週間くらいは
5~6cm程度の深水管理 にして稲体を保護
し、新根の発生を促して活着を促進します。
■ 分 げつ 期の水管理
苗が活着すると分げつが始まるので2~3cm程度の浅水管理 とし、日中止水・夜間注水の保温的
水管理で地温・水温を上げて根の伸長と分げつの促進を図り、茎数の早期確保に努めましょう。
除草剤は適正に使用し、薬害に注意しましょう
田植え前後に効果的に除草剤を使用して、雑草を抑えましょう。
田植え前後に散布する除草剤としては、初期剤、初期一発剤、初・中期一発剤になります。
高温下ではワキ(ガス害)が心配されるので、除草剤散布前に水交換または軽い田干しを行いましょう。
水田除草剤は、田面に処理層を形成することで効果を発揮します。除草剤の効果を上げるポイン
トは、次の3点です。
除草剤を圃場全体に広げるため、代かきを丁寧に行い凹凸をなくしましょう。 また、ジャンボ剤や豆つぶ剤を使用する場合は、アオミドロやウキクサがあると除草成分がうまく拡散できず、薬害が発生することがあるので、アオミドロやウキクサは必ずモゲトンで駆除 しましょう。
均一な処理層を作るため、水口、水尻をしっかり止め、湛水状態で水深を粒剤・フロアブル剤は3~5㎝ 、ジャンボ剤・豆つぶ剤は5~6cm とし、7日間程度湛水 状態を保ちましょう。
処理層を壊さないため、7日間は落水、かけ流しは行わず (水深が低下した場合は、ゆっくりと入水)その間なるべく水田内に立ち入らないでください。
水田の雑草防除については、NOSAI山梨の広報紙(2022春号No.24) に資料を掲載していますので、そちらも参考にしてください。
NOSAI稲作だより
第2号 2023.3
3月以降も気温が高い見込み、作業が遅れないよう注意を
3月に入って最高気温が連日20℃を超す日が多く、桜の開花は3月17日(甲府気象台発表)で2002年と並びもっとも早い開花となり、平年より8日、昨年より4日早くなっています。
気象庁が発表した長期予報によると、1ヶ月予報では気温が高い確率が70%と高く、また、3ヶ月予報でも気温が高い確率が50%と、育苗期が高温になると予想されます。生育が進む恐れがあるので、作業が遅れないよう注意しましょう。
土づくり
土壌の物理性や化学性・生物性を改善し、イネが生育しやすい環境を作るため稲わらや堆肥等の有機物を投入しましょう。(ガス害を防ぐため秋の投入が望ましい)
倒伏防止やイモチ病軽減のため、ケイカルなどのケイ酸資材を10a当り100~150kg 、更に洪積土地帯ではヨウリンを10a当り40㎏位 施用しましょう。
作土が浅いと生育が劣り、稲わらなどの残渣も埋没しにくいので、15㎝ を目安に耕耘しましょう。
田植日から逆算して計画的な育苗を
田植する苗の大きさ(稚苗・中苗)により育苗日数が異なるので、田植日から逆算し計画的に作業日程を設定しましょう。また、苗の大きさにより播種量、箱数も異なるので、種や用土など過不足ないよう準備しましょう。
苗づくり
昔から苗半作といわれるように、苗の良し悪しがその後の生育を左右します。
基本に返って失敗しないようにしましょう。目標とする苗質、箱数等は下表のとおりです。
育苗資材の準備
種もみの準備
令和4年
NOSAI稲作だより
第6号 2022.7
第6号 2022.7
梅雨明け後の高温で平年並みからやや早い生育
6月初めから低温が続いていた影響で、平年に比べ茎数が少ない傾向が見られましたが、梅雨明け後の高温で分げつが促進され、中間地から高冷地にかけて概ね平年並みからやや早い生育となっています。
適期適量の穂肥で高品質米生産を
コシヒカリなどの倒伏しやすい品種と、あさひの夢などの倒伏に強い品種とでは、穂肥の施用時期や施用量が異なってきますので、下の表を参考に施用してください。
分げつ量が多く、葉色が濃い場合は、施用量を減らして対応しましょう。また、施用時期が遅れたり施用量が多いと玄米祖たんぱく質含有量が高くなり食味が悪くなりますので、注意してください。
穂肥を施用する場合は、湛水状態で行い、散布後3~5日は止水してください。
出穂期前後の水管理
出穂前までは間断かん水(2日湛水、2日落水)を行います。
出穂~出穂後1週間程度は、稲が最も水を必要としますので、湛水管理で水深3~5㎝を保ってください。
出穂後1週間程度~出穂後30日は、間断かん水(2日湛水、2日落水)とし、出穂後30日間は完全落水しないでください。
出穂期に高温となる場合は、胴割れや白未熟粒が発生し品質が低下するので、水交換やかけ流しにより水温、地温の上昇を抑えてください。
斑点米カメムシの発生量がやや多い予想
7月1日に県病害虫防除所が発表した「病害虫発生予察報第4号」によると、斑点米カメムシの発生量がやや多いとの予報 が出ています。斑点米カメムシは、畦畔や近隣の遊休農地のイネ科雑草で増殖し、稲が出穂すると本田に飛来して加害するので、出穂2週間程前までに畦畔等の除草を徹底 してください。
また、天気予報によると12日から22日まで曇雨天 となり、いもち病発生の好適条件となる日が多くなります。畦畔等のイネ科雑草に病斑が見られ、北杜市高根町では葉いもちが出始めていますので、十分注意してください。
近年、温暖化に伴いカメムシ類の被害が多くなっています。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。
畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂2週間程前までに畦畔等の草刈り、水田内の除草 をしてください。
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気です。特にいもち病に弱いコシヒカリなどの品種では、田植前の育苗箱への薬剤処理、本田期での予防散布を徹底することが防除のカギとなりますので、次の点に注意してください。
葉色が濃い場合は、感染を助長しますので、圃場を良く見回り、早期発見、早期防除を徹底 してください。
万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなどの治療効果のある薬剤を散布してください。
粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上を保ち 、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態 を保ってください。また、散布後7日間は、落水・かけ流しはさけて ください。
葉いもちの病斑
NOSAI稲作だより
第5号 2022.6
初期分げつが少ない傾向、浅水管理で分げつを促そう
6月初めから低温が続いていた影響で、平年に比べ茎数が少ない傾向が見られます。藻類の発生が多い田では一度水交換を行い、その後浅水管理(水深2~3cm) とし、昼間止水・夜間注水で水温・地温を確保 して分げつの発生を促してください。
気温が高く、降水量は少ない予報、ワキの発生に注意
6月23日発表の1ヶ月予報では、気温は平年より高い、降水量は平年並みから少ない、日照時間は平年より多い確率がそれぞれ高いとの予報となっています。
気温が高く、晴天が続くと土壌が異常還元状態(ワキ)になりやすくイネの生育に影響するので、土壌からの気泡の発生の有無や葉色や分げつ量を確認してワキが発生していないか日頃から観察しましょう。
晴天・高温が続く場合は、2~3日おきに水の入替 を行い、ワキや表層剥離の発生を抑制しましょう。万一ワキが発生した場合は、下の表により対策を行ってください。
有効茎数が確保された田から中干しを
中干しは、水管理の中でも重要な作業です。中干しすることで次のような効果が期待できます。
土壌の通気を良くし硫化水素等の有害物質を除いて根の老化を防ぎ、活力を維持する。
窒素の吸収を抑え、無効分げつを抑制する。
加里の吸収が多くなり、イネの組織が強くなる。
土壌が硬くなることにより、倒れにくくなる。
中干し終了後の田面の目安
中干しは、有効な分げつが確保された出穂前40日~30日に実施 します。中干しの程度は、田面にやっと足跡が付く位か、2~3㎜くらいの小さなヒビが入るくらいで5~7日程度を目安 にします。
中干し終了後は、間断かん水に切り替え
中干し終了直後に湛水すると根腐れを起こしやすく登熟不良や早期枯れあがりにつながります。
中干し終了後は走り水で飽水管理 (足跡に水がにじみ出る程度)した後、徐々に間断かん水(2日湛水、2日落水)に切り替え 、根の活力維持に努めましょう。
適切な病害虫防除の徹底を
いもち病は、発生してからでは抑えることが難しい病気なので、特にいもち病に弱いコシヒカリなどの品種では、田植前の育苗箱への薬剤処理、本田期での予防散布を徹底することが防除のカギとなります。NOSAIでは10日から富士支所で、16日から北部支所で、いもち病の一斉防除を行っていますが、次の点に注意してください。
置き苗は、いもち病の発生源となるので速やかに処分してください。
NOSAIの一斉防除を申し込みされなかった方は、防除が遅れないようにしてください。特に育苗箱への薬剤処理をしていない方は、早急に本田への予防散布を行ってください。
粒剤やジャンボ剤を使用する場合、水深3cm以上を保ち 、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態 を保ってください。また、散布後7日間は、落水・かけ流しはさけて ください。
万が一、葉いもちが認められた場合は、早急にブラシンなどの治療効果のある薬剤を散布してください。
葉いもちの病斑
近年、温暖化に伴いカメムシ類の発生、被害が多くなっています。カメムシは籾を吸汁して斑点米を発生させますが、寄生数が多いと不稔になり、ほとんど収穫できない場合がありますので、次により防除してください。
畦畔や水田周辺のイネ科雑草から出穂期に本田に飛来すること、また水田内のヒエやホタルイの穂がカメムシの誘因源、発生源になることから、出穂10日前までに畦畔等の草刈り、水田内の除草 をしてください。
本田への発生が認められた場合は、殺虫剤を穂揃期と乳熟初期(穂揃期7~10日後)の2回散布 してください。
粒剤を使用する場合は出穂期~出穂7日後まで とし、湛水状態(水深3㎝程度)で田面に均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しはさけて ください。
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
図 斑点米カメムシの生態
NOSAI稲作だより
第4号 2022.5
5月下旬~6月は気温が高く、雨が多い予報
5月19日発表の1ヶ月予報では、気温が高めで雨が多く、日射量は少ない確率が高い予報です。
天候が変わりやすい予報となっています。適切な水管理でワキを予防し、初期分げつを確保しましょう。
土壌の異常還元(ワキ)対策
田植え後、気温の上昇に伴い、有機物等の分解が進むと、土壌が還元状態(酸欠)になりメタンガスなどが発生。ガスにより根痛みが発生し、水分や養分吸収が阻害され、分げつ不足や葉が黄変することがあります。次のことに留意して、適切な水管理を行ない、根痛みを未然に防ぎましょう。
活着後は、水深2~3cmの浅水管理とし、日中止水、夜間注水の保温的水管理を行い分げつの発生を促進させましょう。
晴天・高温が続く場合は、2~3日おきに水の入替えを行い、ワキや表層剥離の発生を抑制しましょう。ワキが発生した場合は、下の表により対策を行ってください。
除草剤を使用する場合、薬効を確保するため散布後7日間は止め水とします。その間ワキが進まないよう、除草剤散布前に必ず水の入替えを行いましょう。
ワキによる分けつ不良
いもち病防除を徹底しましょう
昨年は、8月の天候不順で穂いもちが多発しました。梅雨時は感染条件が整いやすいので、薬剤による防除を徹底してください。
いもち病防除剤(粒剤)を散布する場合、水深を3cm以上とし、散布後は少なくとも3~4日間は湛水状態を保ってください。また、散布後 7日間は、落水・かけ流しはさけてください。
県病害虫防除所の水稲いもち発生予測システム(BLASTAM)を参考に防除が遅れないようにしましょう。
NOSAI稲作だより
第3号 2022.5
5月は気温が高く雨が多い予報
4月28日発表の1ヶ月予報では、気温が高めで雨が多く、日射量は少ない確率が高い予報となっています。天候が変わりやすい予報となっていますが、田植は、風のない好天日に行いましょう。
代かきは均平に
代かきは、湛水状態で土をねるため、施用した元肥を混合でき、水持ちを良くし、また田面の均平化によって田植えがしやすくなり、除草剤の効果もあがるほか、苗の活着も良くなります。大切な作業ですので均平化 することを念頭に丁寧に行いましょう。
水持ちの悪い水田では、ある程度丁寧に代かきする必要がありますが、一日当りの減水深は2センチ くらいが望ましいので、代かきのやりすぎは水が停滞し稲の生育にもよくありません。
代かきする時期は土質、土性によって違いますが、およそ田植えの2~6日前くらいが目安 になります。代かき後の落水は田面を硬くし、田植えの精度を落としたり、除草剤の効果を低下させますので、田植えまでは湛水を保ちましょう。
代かきは水面に土の塊が3割程度見える水量で
田植えは好天日に
天候が安定しない予報が出ていますが、低温や強風の日に田植えすると苗が植え痛みを起こして活着や初期成育の遅れにつながります。出来れば2~3日程度好天が見込める日 に田植えをしましょう。
植え付け深度は3cm程度 とします。極端な深植えは初期の分げつを抑制し、浅植えも活着しなかったり、除草剤の薬害を受けやすいので避けてください。
植え付け本数は4~5本/株 、栽植密度は60株/坪 を基本に、田植えが遅れる場合や用水の温度が低い圃場では株当りの植え付け本数をやや多めにしましょう。
欠株は、苗の状態、田面の硬さ、ワラなどのゴミの多さが原因で発生します。多少の欠株は収量に影響ありませんが、連続1m以上の欠株が出た場合には20㎝に1株の割合で補植 を行ってください。
補植作業が終わった後も、余った苗を田内に放置する方が見られますが、いもち病の発生源になるので早めに処分 してください。
田植え直後は水深5~6㎝の深水管理を
田植後の水管理は、植え痛みによる活着の遅れを防ぐため、田植え後1週間くらいは5~6㎝程度の深水管理 にして稲体を保護し、新根の発生を促して活着を促進します。
苗が活着すると分げつが始まるので2~3cm程度の浅水管理 とし、日中止水・夜間注水の保温的水管理で地温・水温を上げて根の伸長と分げつの促進を図り、茎数の早期確保に努めましょう。
除草剤は適正に使用し、薬害に注意しましょう
田植え前後に効果的に除草剤を使用して、雑草を抑えましょう。
田植え前後に散布する除草剤としては、初期剤、初期一発剤、初・中期一発剤になります。
水田除草剤は、田面に処理層を形成することで効果を発揮します。除草剤の効果を上げるポイントは、次の3点です。
除草剤を圃場全体に広げるため、代かきを丁寧に行い凹凸をなくしましょう。また、ジャンボ剤や豆つぶ剤を使用する場合は、アオミドロやウキクサがあると除草成分がうまく拡散できず、薬害が発生することがあるので、アオミドロやウキクサは必ずモゲトンで駆除しましょう。
均一な処理層を作るため、水口、水尻をしっかり止め、湛水状態で水深を粒剤・フロアブル剤は3~5㎝、ジャンボ剤・豆つぶ剤は5~6㎝とし、7日間程度湛水状態を保ちましょう。
処理層を壊さないため、7日間は落水、かけ流しは行わず(水深が低下した場合は、ゆっくりと入水) その間なるべく水田内に立ち入らないでください。
水田の雑草防除については、NOSAI山梨の広報紙(2022春号No.24)とホームページに資料を掲載していますので、そちらも参考にしてください。
NOSAI稲作だより
第2号 2022.4
気温が高いことが予想されるので適切な温度管理を!
4月に入って、甲府で25℃以上の夏日が続いています。今後も気温が高い予想となっていますので、浸種・育苗時はきめ細やかな温度管理を行い、ばか苗病等の感染や高温障害(苗焼け)に注意してください。
育苗管理
育苗期間中の病害対策
出芽を揃え、温度管理やかん水を適切に行い、農薬を適正に使用して病害を発生させないように管理しましょう。育苗中の主な病害は表1のとおりです。
本田の管理
NOSAI稲作だより
第1号 2022.3
漏水防止・圃場の均平化を徹底しましょう !
水稲の生育と除草剤の効果安定には水田の水持ちをよくする必要があります。用水路や畦畔の亀裂、畦畔や圃場にモグラ穴等がある場合は早めに補修しましょう。
圃場に凸凹があると、凸の部分は除草剤が定着しにくいため雑草が発生しやすく、凹の部分は苗が冠水したり、排水しにくい等の問題が発生しますので、低い箇所への客土など圃場の均平作業をしてください。
土づくり
土壌の物理性や化学性・生物性を改善し、イネが生育しやすい環境を作るため稲わらや堆肥等の有機物を投入しましょう。
未熟の堆肥を入れるとワキ(ガス害)が発生し、稲の生育に悪影響が出ますので、完熟したものを入れましょう。
稲わらを入れる場合は、収穫後遅くも11月上旬まで に腐熟促進のため10a当たり20kgの石灰窒素を散布し、稲わらと一緒に鋤きこんでください。
倒伏防止やイモチ病軽減のため、ケイカルなどのケイ酸資材を10a当たり100~150kg 施用しましょう。
作土が浅いと生育が劣り、表面にある肥料やワラの残渣などの夾雑物も埋没しにくいので、15㎝ を目安に耕耘しましょう。
苗づくり
昔から苗半作といわれるように、苗の良し悪しがその後の生育を左右します。
基本に返って失敗しないようにしましょう。目標とする苗質、箱数等は下表のとおりです。
育苗資材の準備
種もみの準備
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