果樹農家だより

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NOSAI果樹農家だより

果樹農家の皆さまへ、時季ごとの耳より情報をお届けする「NOSAI果樹農家だより」を発行しています。農作業の参考にしてください。

最新号

NOSAI山梨果樹農家だより(ブドウ)

vol.60
2022.8

本当に勝沼は暑い?

  • 最高気温測定地点としてすっかり常連となった勝沼について、「あれ、昔からそんなに暑いところでしたっけ?」と若干の戸惑いを感じています。
  • 近年、猛暑日(最高気温が35℃以上の日)の年間日数は温暖化により国内各地で増加の傾向にあります(図)。
  • 2010年以前の勝沼では、他の常連地に比べて猛暑日の日数はむしろ少ない傾向でしたが、それ以降肩を並べています。
  • この急上昇の原因は不明ですが、現在、国内有数の酷暑地点であることは否定できません。樹だけでなく人の健康管理の重要性もますます高まっています。

ブドウ泥棒を防ぐために

  • トウモロコシやモモ、スモモ等農産物の盗難被害が発生しています。最近の手口の特徴は、計画的で大胆な点です。未解決のままになる場合が大半であり、解決しても賠償されない場合も多く、被害農家は減収とともに精神的ショックを受けます。
  • 今後、シャインマスカットの本格的な収穫期に迎えるにあたり、以下の点に留意しながら主に未然防止の視点から農作物盗難対策を進めましょう。
  1. ネットや柵等の設置。
  2. 「盗難注意」「立入禁止」「農薬散布直後」等の看板やのぼり旗の設置。
  3. 防犯カメラ、センサーライト等の設置。
  4. 周辺に「防犯カメラ作動中」等ステッカーや看板等の設置。
  5. 盗難防止パトロールの実施。
ブドウ盗難防止用ネット

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NOSAI山梨果樹農家だより(モモ)

モモ園の潅水の重要性

vol.59
2022.8

  • モモ園においては、水が絶えず出入りしています(図)。
  • 樹はを通して年間745mmの水を吸収し、果実を生産する他、葉からの水蒸散により樹体を冷却し、適温に保っています。
  • 園に入る降水量は年間1164mm程度です。しかし、降雨の一部は、地下浸透や地表面流去するので全量吸収は困難です。
  • そのため、夏季には土壌が乾燥しない様に定期的な潅水により水分を補う必要があります。
  • 収穫後も園の状態を見ながら忘れずに潅水を実施しましょう。
図 モモ園における年間の水の動き
(6年間の試験結果)

高山植物は温暖化における「鉱山のカナリア」

  • 今夏は梅雨明けが早く、猛暑が続き、日焼け等高温障害の発生が話題となり、地球温暖化を実感します。
  • 地球は長い歴史の中で寒冷化、温暖化を繰り返しています。氷河期に分布が広がり、その後温暖化につれて南アルプス等の標高が高く、気温が低い山地に取り残された植物高山植物と呼ばれています。
  • かろうじて残っている植物ですので環境変化には敏感で、温暖化により生育域縮小等の影響を受けます。
  • かつて、鉱山で鉱道の毒ガス感知に用いられたカナリアに例えて、高山植物は温暖化による変化をいち早く知るための「鉱山のカナリア」と言われています。

ニッコウキスゲ
(南アルプス高山植物保護ボランティアネットワーク)

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NOSAI山梨果樹農家だより(ブドウ)

vol.58
2022.7

1日で発生する日焼け果

  • 梅雨明け直後の日射量が強い条件では果房の肩部分の果粒が委縮して茶色に変色する日焼け果が発生します(写真)。
  • 摘粒がやっと終わり、袋掛けが完了し、長雨から解放され、これから本格的な果粒肥大や糖度上昇を期待する矢先のことです。
  • 特に果房の肩口が欠けてしまうとしまうと房形や果房重が十分と言えなくなってしまうので栽培者の落胆は大きくなります。
  • 対策法のポイントは2点です。まずは、土壌が乾いていればスプリンクラーで2時間程度のかん水をしましょう。
  • また、クラフト紙のカサ使用新梢の誘引により日光が直接果房に当たり高温にならない様にしましょう。
シャインマスカットに発生した
日焼け症状

線状降水帯の予測開始

  • 線状降水帯とは、次々と発生する積乱雲が列をなし、同じ場所を通過または停滞することで、線上に伸びた地域に大雨を降らせるものです(図)。
  • 本年6月に気象庁は線状降水帯による大雨の可能性を予測し、まずは大まかな地域を対象に半日前からの情報提供を開始しました。
  • 図の例では、雨が降る地域が線上に50km以上細長く伸び、その中心部では3時間で200mm以上の大雨が続いていました。
  • 梅雨末期以降は予報に注意しましょう。

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NOSAI山梨果樹農家だより(モモ)

この様なモモの剥き方はいかが?

vol.57
2022.7

  • モモを剥く方法についてサイト検索し、より良い方法を検討しました。
  • 調べた23サイトの約8割で以下の方法を推奨していました。
  • 果実の縫合線に沿って周囲に切れ込みを入れ、ルービックキューブ式に左右を別々に回転させて半分に割った後、さらにナイフで細分する方法です(図1,2)。
  • ただし、過熟果実ではこの方法により果肉が崩れやすいので初めからナイフで8分割します。
  • また、硬い果実の皮を剥く際には、沸騰した湯に5~10秒間漬けると皮が指で剥けるようになります(図3)。
  • このように剥き方が工夫されるのは、貴重な果実を残さず十分に味わおうとする消費者意識の現れでしょう。
図3 沸騰水処理により皮が剝け易くなる

増加する果物輸出

  • 輸入額はバナナを筆頭に、上位5位の合計額は県産果実生産総額の約4倍に相当します(表)。
  • 一方、輸出額は上位5位までの合計額が輸入額の1/10に過ぎず、今後は大幅な増加が予想されます。
  • 現状ではリンゴが全体の輸出額の約半分に相当し、台湾、香港、東南アジア等温暖な国で人気果物です。
  • ブドウ、モモの輸出額は最近5年間で50%以上急増しています。
  • 各果実の現地価格は国内価格の3~5倍と高く販売されています。円安基調も後押しとなり、今後も輸出額の増加が期待されています。

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NOSAI山梨果樹農家だより(ブドウ)

vol.56
2022.6

ブドウ台木とフィロキセラ

  • ブドウに台木を使う理由は複数ありますが、最大の理由はフィロキセラ(ネアブラムシ)対策です。
  • ブドウは挿し木をすれば、台木を使わない自根でも栽培できます。しかし、根にフィロキセラという虫が寄生してブドウの樹を弱めます。
  • フィロキセラ抵抗性台木を用いると影響なくブドウ栽培が可能となり、現在では全世界で普及しています。
  • 1860年代のフランス(ブドウ栽培面積約230万ha、日本現面積1.7万ha)では当時主流であった自根樹のほとんどがフィロキセラにより壊滅状態に陥りました。
  • 抵抗性台木による解決法を研究したG.Foëxの功績を称えてフランスのモンペリエには乙女が老女を抱き起す銅像が立っています。
モンペリエ農業科学高等教育国際センター内の
記念碑
 (画像引用 wikipedia より)
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Gustave_Fo%C3%ABx

シャインマスカットの開花異常

  • 一昨年頃から開花時に花冠が離脱しない等の異常症状がみられます。
  • そのような房は果粒となっても肥大しないで、変形果二重果となってしまいます。
  • この症状は開花前の花蕾表面にスジがなく、丸くツヤがある場合多いの で判別基準の一つになります(図)。
図 異常花蕾判別 (山梨県果樹園芸会発行山梨の園芸5月号)
  • 本症状の根本原因は不明ですが当面の対策として以下が考えられます。
  • まず、房づくりの時期を多少遅らせて開花異常の兆候を識別します。開花異常は主穂先端部に多くみられるので、異常症状が認められる場合は正常な上部支梗を使った房づくりに変更を検討して結実確保に努めます。

vol.56ダウンロード

NOSAI山梨果樹農家だより(モモ)

農薬を溶かす順序

vol.55
2022.6

  • 農薬は混用で散布する場合が多く、調整時に沈殿や変性を起こす場合があります。各農薬が均一に溶けて十分な効果を発揮するためには順序を守る必要があります。
  • まず、混用が可能な農薬どうしか防除暦に添付されている事例集で確認します。
  • 水に溶かす順序は、溶けやすい農薬から溶かす点です(図)。
  • 最も溶けやすい農薬は展着剤()と液剤。次に乳化剤を含む乳剤()。フロアブル剤、果粒水和剤、水和剤は全て水和剤()です。「てにす」と覚えましょう。
  • ただし、この基本には例外が多く存在します。例えばモベントフロアブルは最初に溶かします。必要に応じて相談願います。
図 農薬を溶かす順序(てにす)

降雨による除草剤処理効果への影響

  • 使用機会の多いグリホサート剤について処理後の降雨の影響を調べました(図)。
  • 試験条件:イネ科雑草が地表を覆うモモ園を1辺2~3mで区画化し100倍液を散布処理。:散布後24時間は降雨なし。水色:散布2時間後に十分な水を動噴で散布し洗浄。:散布液に展着剤サーファクタントwk500倍を添加し処理後同様に水洗浄。
  • 結果は3処理区の除草効果は何れも十分でした。雑草は2週間で一掃されます。
  • 天候が不安定な時期ですが散布後2時間降雨がなければ除草効果は現れます。
図 グリホサート剤処理効果への降雨の影響

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